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研究について
ウイルスと細菌のゲノムをスーパーコンピュータ上でAIを使って解析しています。
抗生物質でやっつけることができる細菌、例えば大腸菌、サルモネラ菌などはみなさん想像しやすいと思いますが、細菌の中には薬に耐性を持つ耐性菌があります。世界では年間100万人くらいの方が耐性菌を原因として亡くなっていることをご存じですか?
そこでウイルスを使って耐性菌を撃退する「ファージセラピー」という治療法があるのですが、100万株以上の中から適切なウイルスを選択する必要があります。
私はその適切なウイルスを選択するための研究を進めています。
大学から情報系の学科に入りプログラミングを学んできましたが、ずっと何か人のためになることをしたいと考えており、人に害を与える細菌をテーマとした今の研究にたどり着きました。
日本では同じ世代で同じ研究をしている仲間は多くありませんが、海外の学会に行くと、同世代の人に出会うことができ、コミュニケーションをとることがとても楽しいです。もちろん英語でのディスカッションにはなりますが非常に刺激を受ける機会になっています。
中高生時代について
数学が好きで、家で一日中数学の問題に向き合っていました。
中学時代には友達と難しい問題を競い合うこともとても楽しかった思い出です。
高校生になると、行事がとても盛んな男子校だったので、行事をとても楽しんだなと思います。3日間遠泳をしたり、文化祭でクラスのみんなで力を入れて作品を作ったり充実した高校生活を過ごしました。文化祭のときにクラスで作ったトロッコアドベンチャーでは、初めてプログラミングに挑戦したことも思い出です。
勉強以外の楽しい時間もたくさん過ごしたように思います。
プログラミングについて
高校の時にUnityというゲーム開発エンジンに出会い、そこで使われているC#を使いたくて本を買って独学してみたのがスタートでした。その後、大学は情報系の学部に入学したので、授業でいろんな言語を学びました。
大学で学んだのはC言語、Java、Python、関数型言語のOCaml(オーキャムル)、数学の定理証明を行うCoq(コック)などですが、今使用しているのは専らPythonです。大学院に入って自分でたくさんコードを書くようになってからどんどん上達してきたように感じます。実際に手を動かしてコードを書くというのは、上達に不可欠ですね。
AIとの関わり方ついて
近年、急速にAIが発達しているので、中高生のみなさんにもなじみがあるのではと思います。私自身も研究にAIを使用しています。研究以外でもいろいろな場面でChatGPTなどを活用しています。例えば、研究内容をまとめる時の文章の添削や、アイディア出しをする時など気軽に使っています。すぐにたくさんのアイディアが出てきたりしてとても驚かされますよ。私個人としては、中高生もいろいろ使ってみるといいのかなと思います。
自分自身の知見にはなかった、広い視野でのアイディアが見つかるかもしれません。
情報を鵜呑みにしないなど、使い方はきちんと判断するようにしてくださいね。
取材日:2025/02/13

大久保 陽平さん
- 研究分野:
- 深層学習、バイオインフォマティクス
- 所属:
- 東京大学大学院 情報理工学系研究科
- 趣味:
- ジム、水泳、チェロ
ウイルスと細菌のゲノムについて研究しています

東京大学白金台キャンパスにて
中高生へのメッセージ
プログラミングの研鑽ももちろん大切ですが、もっと生の英語に触れておけばよかったなというのが自分自身の後悔でもあり、中高生に強く伝えたいメッセージです。
しかし急にそんなこと言われても難しいと思うので、おすすめの英語勉強方法を2つご紹介します。
1つは動画配信サービスをサブスクして、通学中の電車内などで海外ドラマを視聴する方法です。私の場合、スマートフォンのピクチャインピクチャの小さな画面で日本語字幕付き動画を視聴しつつ、英語スクリプトを大きな画面で表示しています。分からない単語や熟語に遭遇したらいったん動画を止め、単語をタップして調べ、動画を巻き戻して再視聴します。最初は分からない単語が多すぎてなかなか進まずつらいですが、1~2年継続して視聴していくと、だんだん英語のまま理解できるようになっていきますよ。
2つ目は、海外の小学校3~4年生が読むような物語を読むことです。洋書は小学生向けのものであっても中高生が習わない単語や熟語などもたくさん出てきて意外と難しくて勉強になります。特に電子書籍で読む方法がおすすめで、知らない単語を効率的に調べることができます。私は電子書籍専用端末を使って、寝る前やお風呂に入りながら読んでいます。
どちらも慣れるまでしんどいですが、楽しみながらできる勉強方法なのでぜひ試してみてください!応援しています。