取材日:2024/09/06

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吉澤 香奈子さん

研究分野:
物性理論
所属:
一般財団法人 高度情報科学技術研究機構 利用支援部
趣味:
海外のドラマ(特にアジア)を見ること

「富岳」・HPCIの利用支援をしています。専門は物性理論です。

 

現在のお仕事・研究について

私が働いている一般財団法人高度情報科学技術研究機構(RIST)利用支援部は、スーパーコンピュータ「富岳」 をはじめ、大学や研究機関が持つ世界有数のHPCI(スーパーコンピュータ)を利用する研究者の支援を軸に、以下の仕事をしています。

  • 研究者がより効果的に成果を出すための高度化支援
  • スパコンにアプリケーションを事前にセッティングしておく整備業務
  • スパコン利用者向けセミナーの開催
  • 中高生・高専生向けのプログラミングイベントの開催
  • 専門性を追求する自身の研究  

中高生・高専生向けの『スパコン「富岳」体験塾』で講師をしているのも利用支援部のメンバーです。
私は主に、研究者向けのセミナーや講習会で登壇したり、スパコンにアプリケーションの設定・整備をして 利用者が使いやすい環境を整える業務を行っています。
 
また、利用者の支援だけでなく、自分が専門にしている物性理論分野の研究も続けています。
物性理論とは、簡単に言えば物質の性質を明らかにすることです。高校で習う原子がいろんな原子とくっついたときに原子単体の時とは、全く違う性質を持つのですが、これが新しい材料の原料になったりします。原子がたくさん集まると原子が孤立している状態と性質が変わるということがとても面白く、とても複雑な研究で、まだまだ新しい研究分野です。
 
利用支援部には物性理論に限らず、いろいろな専門分野の人が集まっているので、利用者を支援する際にその専門性が役立っています。
 

なぜこの仕事に就きましたか

子どものころは、まさか研究者になるとは思っていませんでした。
勉強もそれなりにやっていましたが、部活で体を動かしたりすることも好きでしたので、教育実習で母校に行った時に、中高時代を知ってくれている先生から「体育の先生でしょ?」と言われたほどです。特に中高生の頃は、オフィスの机に座って仕事をするのは嫌だなと思っていて、学校の先生や警察官、農家など体を動かす仕事を漠然と思い描いていました。
今の仕事や研究者になることは全く考えていなかったですが、大学で学んだり研究する中でパソコンでの作業が好きだと気づきました。
成果が出ないと苦しいこともありますが、研究することが好きだったので、できる限り続けたいと考えているうちに、今に至っています。
 

プログラミング・パソコンとの出会い

中高生の頃にコンピュータを触る機会が無く、大学に入ってから学校のコンピュータを初めて触りました。ちょうどその頃、Windows95という一大フィーバーになったOSが発売され、一般家庭にも普及し始めたかと思います。従来のものと比べ操作性もよく、とても使いやすくなっていて、のめり込みました。いろいろ触ってみるのがとても楽しかったです。
 
プログラミングに関しては、大学で自分の研究が始まった時に必要になり勉強しました。今は自分でコードを書かなくてもフリーのアプリケーションが公開されており、そのアプリケーションをインストールさえすれば研究ができるような環境になっていますが、私が大学生のころは、自分の研究に合わせて毎回コードを書く必要があり、とても大変でした。得意ではなかったですが、設計したことが計算機上で動くことが面白く、結果がでると楽しかったです。
 
プログラミングや研究も好きでしたが、パソコンにOSをインストールしたり、アプリケーションをインストールして環境整備をするのがとても好きでした。
特に意味はなくても、定期的に自分のコンピュータのOSを入れ替えたりしていたので、今のアプリケーション環境整備の仕事に通じるものがあったなと思います。
 

 

中高生へのメッセージ

ぜひ、やりたいこと・興味を持ったことにチャレンジしてみて欲しいです。
大人になって仕事で研究をすると、自分がやりたいことだけをできるわけではないし、やるからには成果を出さないといけないというプレッシャーもでてきます。
失敗しても平気な今のうちにいろいろなトライをしてみて、失敗から学ぶことを経験してもらいたいなと思います。