領域1
人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓
課題番号 hp200132
量子物質の創発と機能のための基礎科学 ―「富岳」と最先端実験の密連携による革新的強相関電子科学
物理学の根元的な問いである、量子流体の本性は何か?という問いと、高温超伝導はどうやって生み出されるのか?という2つの未解決で深く関連しあう基礎科学の根本課題に挑戦するために、機械学習など含めた計算手法と、富岳のための効率的なコードの開発を行ない、富岳を駆使した応用を展開する。
課題番号 hp200138
大規模データ解析と人工知能技術によるがんの起源と多様性の解明
ゲノムシーケンスデータ解析パイプラインGenomon及びネットワーク解析アプリケーションとネットワーク深層学習システムDeep Tensor等により、正常組織においてどのように遺伝子変異クローンが生じるのか、遺伝子変異ないしその組み合わせがどのように細胞の表現型を決定するのか、さらには、その多様性・複雑性のために研究が進んでいないゲノムの構造異常が発がんにどう関わるのか、について解明する。
宮野 悟
東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター
課題番号 hp200139
脳結合データ解析と機能構造推定に基づくヒトスケール全脳シミュレーション
ポスト「京」萌芽的課題の成果を受けて、引き続き「富岳」を用いてヒトスケールの神経回路シミュレーションを達成することを目指します。また、げっ歯類~小型霊長類規模の大脳皮質-基底核-視床-小脳シミュレーションを、身体モデルとの統合を含めて推進します。並行してこれまで開発を続けてきた高性能神経回路シミュレータとAIフレームワークを移植し、「富岳」向けのチューニングを行います。
課題番号 hp200135
全原子・粗視化分子動力学による細胞内分子動態の解明
「富岳」を用いた分子動力学シミュレーションを行い、細胞内環境における蛋白質や核酸などの生体高分子の機能を解明する。全原子と粗視化モデルを用いた超並列計算を行い、大規模な生体分子系の長時間にわたる動態を調べる。粗視化モデルのパラメタを機械学習などのデータ科学の手法で最適化し、信頼性の高いシミュレーションを行うとともに、計測実験と比較し、生命科学の新しい知見を得る。
杉田 有治
理化学研究所
課題番号 hp200130
シミュレーションで探る基礎科学:素粒子の基本法則から元素の生成まで
自然界の成り立ちには、宇宙の誕生とそれに関わる素粒子の基本法則から、原子核の構造、元素がどこでどうやって作られたのか、といった大きな疑問が残っています。大規模な実験・観測の結果を解釈し科学を発展させる上でシミュレーションが重要な役割を果たします。本課題は、我が国で卓越した成果が見込まれる6研究テーマ(B中間子崩壊、QCD相構造、バリコン間力、核構造とr過程、中性子星合体、時空生成)を推進します。
課題番号 hp200127
核燃焼プラズマ閉じ込め物理の開拓
国際熱核融合実験炉ITER をはじめとした磁気核融合では、1 億度を超える⾼温ガス、すなわち超⾼温プラズマを磁場により装置内に閉じ込めて核燃焼状態を維持する必要があります。そのために、乱流をともなう核燃焼プラズマの⾮線形挙動を解明し、内部の密度や温度分布がいかにして形成・維持されるかを理解することが極めて重要です。本課題では、正確な物理モデルにもとづいた最先端の超⼤規模シミュレーションにより、核燃焼プラズマ閉じ込め物理という未踏の科学領域において、「富岳」を活⽤した成果を早期に創出することを⽬指しています。
課題番号 hp200124
宇宙の構造形成と進化から惑星表層環境変動までの統一的描像の構築
宇宙の始まりであるビッグバンから、膨張宇宙における構造形成、それに伴って起こる銀河形成、銀河の中での星形成、星形成に伴う惑星形成、惑星の進化、惑星表層環境の形成、さらには太陽活動とその太陽圏、地球への影響といった、宇宙における階層的な構造の形成と進化についての全体・統一的な理解を、複数の階層にまたがって「富岳」を駆使した世界最高規模のシミュレーションと最新の観測成果を組み合わせることで構築します。