ご挨拶
スーパーコンピュータ「富岳」が動き出して3年。
その間に、文部科学省のプログラム※で
生まれた様々な研究成果について、
第一線の研究者から、
皆様に向けてわかりやすくご紹介します。
「「富岳」って何に使われてるの?」という方、必見です。
オンライン開催です。どなたでもご参加いただけますので、
ぜひお気軽にお申し込みください。
講演とパネルディスカッションの動画を公開いたしました。ぜひご覧ください。
(サイト内「YouTube」ボタンで動画にリンクします)
program
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11:0011:05
ご挨拶
文部科学省研究振興局長森 晃憲 -
11:0511:20
成果創出加速プログラム概要紹介
「富岳」成果創出加速プログラム 領域総括/
東京大学
大学院理学系研究科 教授常行 真司 -
11:2011:50特別講演「富岳」による地震シミュレーション東京大学 地震研究所
計算地球科学研究センター
センター長市村 強 YouTube - 昼休憩(11:50〜13:30)
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13:3014:00講演① 防災・減災線状降水帯線状降水帯を知る -そのメカニズムと予測について-気象庁気象研究所 気象観測研究部 室長川畑 拓矢 YouTube
近年、集中豪雨による洪水や土砂災害が頻発している。日本では台風による直接的な影響を除くと、集中豪雨の約60%が線状降水帯と呼ばれる現象によってもたらされていると言われている。線状降水帯とは、積乱雲が数時間にわたって次々と同じような場所で発生し、線状の狭い領域にとどまり、豪雨をもたらす現象だ。現在の天気予報技術では予測することは困難とされている。本講演では、線状降水帯とはどのような現象なのか、スーパーコンピュータ「富岳」を用いてどのようにこれを予測し、豪雨被害軽減に貢献するのか、ということについてお話しする。
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14:0014:30講演② ものづくりクリーンエネルギーカーボンニュートラル社会実現に向けた「富岳」の役割
-洋上風力開発を例として-東京大学 大学院工学系研究科 教授吉村 忍 YouTube2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けては、脱炭素化エネルギー源の研究開発や、運輸、生産などの様々な人間活動における脱炭素化の取り組みの加速が必須であり、そこには新たなイノベーションも要求される。本講演では、カーボンニュートラル社会における主力電源の一つとして大きな期待を集める大規模洋上風力発電の研究・開発・運用・低コスト化において「富岳」の果たす役割について、事例を交えて、わかりやすく説明する。
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14:3015:00講演③ ライフ個別化医療「富岳」を用いた脳循環の数値再現東京都立大学システムデザイン学部 准教授伊井 仁志 YouTube
脳活動は主にグルコースの酸化代謝により支えられているが、脳組織は一部を除き代謝基質の貯蔵機構が存在しないため、脳血流からのグルコースと酸素の持続的な供給を必要としている。また、血液以外でも、脳内には脳脊髄液や間質液が存在しており、それらの循環が脳機能を維持する上で重要であると考えられている。これらの循環が障害されると、アルツハイマー型認知症などの様々な脳の病気の発症に繋がると考えられているが、詳細は分かっていない。脳循環の恒常性維持の物理メカニズムを正しく理解することができれば、その破綻から病気移行へのメカニズムの理解、さらに予防戦略に繋がっていくことが期待できる。本発表では、特に脳血流を中心として、「富岳」を用いた脳循環の数値再現の取り組みを紹介する。
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15:0015:30講演④ 宇宙・素粒子基本法則から元素の生成原子核の中はどうなっている?陽子の中は?高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 理論センター 教授橋本 省二 YouTube
水素、酸素、炭素、… 。私たちの体をつくる元素は、もとをたどれば小さな原子核、さらには陽子・中性子に分解できる。ではそれらはどんなふうにできているのだろうか。驚いたことに、小さな一点にすぎないと思われるこれらの小さな粒子も、中を調べると多彩な世界が広がっている。さらに、それらはどこでどうやって作られたのか。そんな謎を解明するために使われているのは、巨大な加速器とスーパーコンピュータ「富岳」なのである。
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15:3016:00講演⑤ 材料光エネルギー変換材料デジタル技術が拓く新規光エネルギー変換材料開発奈良先端科学技術大学院大学 教授藤井 幹也 YouTube
現在、我々の生活を支えるエネルギー源は化石燃料に寄るところが大きく、環境持続性や地政学的リスクを考えると様々なエネルギー源を確立しておくことが必要である。その候補の一つに太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池や、化学エネルギーに変換する光触媒がある。これらにおいて直接的にエネルギー変換を担うのは、無機化合物内の電子であり、その状態や運動は量子力学に支配される。そこで、我々は「富岳」によって量子力学的支配方程式を膨大な無機化合物に対して解くことや、機械学習・深層学習を用いることで新たな材料候補を探している。当日は、我々の取り組みの詳細を発表する。
- 休憩
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16:1017:20パネルディスカッション「夢の形~未来のコンピュータ~」 YouTube
登壇者
Microsoft
Cloud Developer Advocate千代田 まどか(ちょまど)東京大学 大気海洋研究所
気候システム研究系
気候モデリング研究部門
特任助教高須賀 大輔千葉大学
大学院理学研究院
准教授堀田 英之東京大学大学院
情報理工学系研究科 教授鈴村 豊太郎コーディネータ
「富岳」成果創出加速プログラム 領域総括
/筑波大学 計算科学研究センター センター長朴 泰祐 -
17:2017:30
クロージング
「富岳」成果創出加速プログラム 領域総括/
東京大学
大学院理学系研究科 教授常行 真司
- 協力機関
- HPCIコンソーシアム/理化学研究所計算科学研究センター
地震を考える際に、数100~1000kmの大きな領域や複雑な都市や構造物などを対象とする場合がある。対象が巨大・複雑すぎるため、「実験によって、どのようなことが起きるのか?どのようなメカニズムなのかなどを検討する」ことは難しい。このような時に、「富岳」のようなスーパーコンピュータによる数値実験(シミュレーション)が有効だ。本講演では、「富岳」の性能を発揮するシミュレーション手法の研究開発を行うことで、初めて実現された地震の大規模なシミュレーションを先端的な試みも含めて紹介する。
○HPCIマガジン「富岳百景」→https://fugaku100kei.jp/mag/09/